2013年5月21日火曜日

Emon Photogallery 藤岡直樹「flora」

 広告業界で活躍している写真家 藤岡直樹の写真展。
 郊外へ出かけ、気になる花を見つけると白い背景で植物を覆い、その時の自然光だけで撮影しているシリーズ。背景を白で隠された植物は淡いトーンで捉えられ、その表現には一切の誇張が排されているように見える。その日、その場所で自然とある様を丁寧に切り取られた作品からは、日頃の喧噪からのストレスを忘れ、自らの然るべきある姿を見つめ直す、そんな自分を客観的に慈しむような気分にさせる印象を持つ。
 花は儚くも力強い姿で人にヒーリングの効果をもたらすが、ストレートに捉えられたこれらの作品群からもそれは十分に感じられる。花をモチーフに作品制作を行う写真家は少なくないが、ここまで素直な表現を目にすることは少なく好感が持てた。

http://www.emoninc.com/

2013年5月13日月曜日

Photo Gallery International 濱田祐史 「Pulsar + Primal Mountain」

 「見る」ということはどういうことなのか?「見えない」とはどういうことなのか?という謎を視覚表現である写真を通して探求することをテーマに作品制作を行っている写真家。
 今回の展示は「Pulsar」と「Primal  Mountain」という2つのシリーズで構成されてる。「Pulsar」シリーズでは、独特のビジュアルで具体的には形を持たない「光」というものを表現していて、普段、目では認識しづらいその光景は私たちになじみ深い景色をある種、幻想的のものへと変え、その光の有り様に驚かされる。
 また「Primal Mountain」シリーズは、一見すると山の風景写真のように見えるが仕掛けがあり、視覚による絶対的信憑性に頼ることへの危うさ、目で認識することに対する先入観の影響力、概して「見る」ということに対して再考させられるシリーズになっている。どちらのシリーズも明確なテーマに裏付けされたコンセプチュアルな作品群であり、改めて、現代アートのジャンルの一つとしてある写真という媒体のあり方について考えさせられる展示だった。

 http://www.pgi.ac/content/view/373/1/lang,ja/