2013年4月20日土曜日

GALLERY COSMOS 半沢克夫 「IN INDIA 1971→ 俺の始まり」

 広告やファッションの世界で活躍している写真家 半沢克夫さん。
1971年、当時26歳の半沢さんは主に車の撮影をしているカメラマンのアシスタントについていた。だが、人間を撮りたいという衝動に突き動かされインドへ向かう。
帰国後、フリーランスとなりその後のキャリアを積み重ねていくなかで、インドでの経験は色濃く反映されていたという。
 展示された作品は、300点の中から45点をセレクト。インドの人々をアップで捉えた作品群には、ポートレートが持つ魅力に圧倒されるものがある。インドの生活が捉えられたカットは、構図が秀逸で被写体として写真家が惹かれるインドの要素が詰まっているように思う。
 デジタル全盛の現在、アナログによるプリントのクオリティーの高さ、「もの」としての存在感が強烈に目に焼き付いた展示だった。

http://gallerycosmos.com/main/?p=491

2013年4月16日火曜日

EMON PHOTO GALLERY 古賀絵里子 [一山]

 前作 [浅草善哉] に続くテーマを模索しているなか訪れた高野山に惹かれ、2010年4月以降山内にアパートを借り、毎月7〜10日間程滞在して取り組んでいるシリーズ。
タイトルの「一山(いっさん)」とは「一つの、ある山」という意味に加え、高野山全体が一つの寺であるという概念から使われている言葉であるらしい。
被写体は主に高野山の四季の自然、おそらくそこで作者が関わった人々を、6×6のフォーマットで丁寧に切り取っていく。どの作品にも人の温かみが感じられるのは作者の人柄によるものではないだろうか。
グリッド状にレイアウトされた作品群に高野山の美しさを感じ、そこで生活する人々が写された作品からは、彼ら(彼女ら)への親しみ・感謝の気持ちを感じ取ることができる。

 今回の展示は、写真集として出版することを見据えての展示だという。ドキュメンタリーとしての質の高さは、写真集としての完成度の高さを予感させる。いつか実際に出版されることがあれば、写真集「一山」、ぜひ手に取ってみたいと思わせる写真展だった。

2013年4月7日日曜日

G/P gallery 川島崇志 [新しい岸、女を巡る断片]

 2012年のTokyo Frontline Photo Awardでグランプリに選ばれた今年注目の写真家。
 「私のような類いの写真は批判を浴びるかもしれないが、そこにあるスペクタクルは私を掴んで放さない。」とは写真家の覚悟。最も重要なことは、何を撮ったかということ以上に、これらのイメージから何を思うかということだろうと語る作者は、コンテンポラリーな表現で作品制作を続ける。考えることに重きを置く作品たちは、鑑賞者をしばし立ち止まらせる。
 言葉では交わされない作者の訴えと鑑賞者の心の変化。それは作品展示の一つの醍醐味だろう。